アジア都市文化学の可能性
大阪市立大学文学研究科叢書第1巻
大阪市立大学大学院文学研究科アジア都市文化学教室編
橋爪紳也 責任編集
昨年開催された国際学術シンポジウムをもとに、都市論の新しい可能性をさぐるべく 注目の研究者が気鋭の論考をよせる。また、都市の未来像を提案する「水都再生建築展図録・AQUATECTURE in AQUAPOLIS」を収録するなど編集にも工夫がこらさ れている。


大阪市立大学文学研究科叢書
第2巻 都市の異文化交流

第3巻 井上徹 塚田孝編・東アジア近世都市における社会的結合

第4巻 近代大阪と都市文化

第5巻 都市文化理論の構築に向けて

第6巻 文化遺産と都市文化政策

第7巻 都市の歴史的形成と文化創造力

第8巻 塚田 孝・佐賀 朝・八木 滋編 近世身分社会の比較史

第9巻 井上 徹・仁木 宏・松浦恆雄編 東アジアの都市構造と集団性

第10巻 大場茂明・大黒俊二・草生久嗣編 文化接触のコンテクストとコンフリクト

第11巻 佐金 武・佐伯大輔・高梨友宏編 ユーモア解体新書

第12巻 塚田 孝・佐賀 朝・渡辺健哉・上野雅由樹編 周縁的社会集団と近代

ISBN4-7924-0535-1 (2003.3) A5 判 上製本 330頁 本体7500円
■本書の構成
1 アジア都市文化学の可能性
アジア都市文化学の可能性 山野正彦(大阪市立大学大学院文学研究科教授)
マレー世界における植民地的知と都市性:社会的空間としての「マレー」にかんする認識論的考察 シャムスル・アムリ・バハルディン(マレーシア国民大学教授,マレー世界・文明研究所所長)/多和田裕司(大阪市立大学大学院文学研究科助教授)訳
観光ビッグバンとアジアの都市観光 石森秀三(国立民族学博物館民族社会研究部長,教授)
インドネシアのパフォーミング・アーツに対する観光のインパクト R・M・スダルソノ(ガジャマダ大学文化科学部教授)/岡部政美(大阪市立大学大学院文学研究科前期博士課程)訳

2 アジア都市社会における文化の再編と生成
ポストコロニアル都市の悲情――台北の日本語文芸活動について 黄 智慧(台湾 中央研究院民族学研究所)
ハノイ――千年の都における観光の可能性 住村欣範(大阪外国語大学外国語学部専任講師)

3 アジア都市文化学の展開
アジアの都市空間を読む――東京,北京,江南,バンコク,バリ 高村雅彦(法政大学工学部建築学科専任講師)
東アジアにおける都市空間構造分析と都市文化研究の可能性――『図説「満洲」都市物語』の世界 西澤泰彦(名古屋大学環境学研究科助教授)
アジアにおける近代性への接近――ベトナムにおける高原リゾート都市研究を通して 大橋健一(立教大学観光学部助教授)
都市における文化遺産のマネジメント 西山徳明(九州芸術工科大学助教授)

4 アジア都市との文化交流
明清時代における中日韓の文化交流――北京を舞台に 王 青(中国社会科学院哲学研究所副研究員)
ソウルの近世都市文化――「賜暇読書制」を通じてみた朝鮮時代知識人文化の一端 崔 在穆(韓国 嶺南大学校人文学部教授)
近世大坂の都市社会と文化 塚田 孝(大阪市立大学大学院文学研究科教授)
近世の語り物 京都から大坂へ ユタ・ハウサー(ミュンヘン大学助教授)

第10回大阪市立大学国際学術シンポジウム関連企画「水都再生建築展」
AQUATECTURE in AQUAPOLIS−水の建築・水の都市−

『大阪市立大学文学研究科叢書』刊行の辞
 21世紀を迎えて大阪市立大学文学研究科は大きく飛躍しつつある。
 昨2001年4月に、従来の12専攻を再編した哲学歴史学・人間行動学・言語文化学の広領域の3専攻と、まったく新しい分野であるアジア都市文化学専攻の、計4専攻からなる新文学研究科が誕生した。本年10月には、文部科学省の「21世紀COEプログラム」において、世界最高水準の研究拠点に選定された。COE研究拠点「都市文化研究センター」は、海外のサブセンターも含めて、すでに活発な研究を展開しはじめている。さらに、来る2003年には文学部・文学研究科の創立50周年を迎え、さまざまな記念事業が行なわれようとしている。
 文学研究科は50年の歴史のなかで、研究・教育の両面において大きな実績を上げてきた。新たな世紀とともにさらなる飛躍を遂げようとするにあたって、文学研究科の研究・教育の成果を、学界はもちろん社会に広く伝えることが必要である。それは大学が果たすべきもっとも重要な社会的責務であろう。この責務に応えるべく『大阪市立大学文学研究科叢書』は刊行される。
 『大阪市立大学文学研究科叢書』として刊行されるのは以下のようなものである。
 1、文学研究科教員・卒業生・大学院学生の研究業績のうち、とくに学術的価値の高いもの
 2、「都市文化研究センター」(COE研究拠点)においてまとめられた研究業績
 3、文学研究科が主催した国際研究会・シンポジウム等の成果
 4、その他、文学研究科における研究業績のうち、広く社会に公表する意義のあるもの
 『大阪市立大学文学研究科叢書』は、文学研究科の研究・教育の成果を、日本はもちろん全世界へ向けて発信するものである。本叢書の刊行が、人文・社会科学の発展に寄与するとともに、人類のよりよい未来に向けて貢献することを、私たちはめざしている。
 読者諸賢におかれても、『大阪市立大学文学研究科叢書』のめざすところに、暖かい御理解と全面的な御支援をお願いしたい。私たちもまた、所期の目的を果たすべく、文学研究科の総力をあげて取り組む決意である。
                 2002年12月
                        大阪市立大学大学院文学研究科長 阪口弘之
※所属・肩書き等は、本書刊行時のものです。