仮名表記論攷
今野真二著


第30回金田一京助博士記念賞受賞
本書は、冒頭に「仮名表記史記述の試み」を謳った、まさに文字史を指向する研究書である。過去16年間の論文27編を収める本書は、一つの原理で統合され一つの著述となる日を久しく待ち望まれていた。表記論は文献学などと均しく、一切の研究の基礎になるべきものであるゆえ、「仮名表記」を標榜した本書は、文字・表記のそれに限らず、音韻・文法を初めとする諸研究部門、広く国語史研究の手続きないしは方法に対する指南書としても極めて有益である。


■本書の構成

序章 仮名表記史記述の試み

第1章 平安時代末期から鎌倉時代初期の諸相
第1節 概観
第2節 各資料に就いて
第3節 まとめ

第2章 仮名文字遣
第1節 書記の単位
第2節 中世の仮名文字遣の諸相

第3章 中世のかなづかい
第1節 鎌倉時代のかなづかい
第2節 室町時代のかなづかい
第3節 かなづかいの「ゆれ」
第4節 かなづかいの転換期

第4章 表記の層
第1節 慶應義塾図書館蔵『横笛物語』の表記をめぐって
第2節 表記の層
第3節 平仮名による振仮名

附章 臨摸本における本文転化
第1節 書陵部蔵本『遺塵和歌集』の場合
第2節 『六条院宣旨集』と『躬恒集』との場合

あとがき/索引




  著者の関連書籍
  今野真二著 大山祇神社連歌の国語学的研究

  今野真二著 日本語学講座全10巻



ISBN4-7924-1349-4 (2001.1) A5 判 上製本 670頁 本体15,500円
※所属・肩書き等は、本書刊行時のものです。