すみよっさんの境内と石燈籠
住吉大社叢書刊行会企画 
住吉大社編集 


海の神、和歌の神として古くから信仰を集めてきた住吉大社について、まずは歴史と境内、石燈籠から徹底解説する。




■本書の構成

序文 髙井道弘

第一部 住吉大社の祭神と歴史

神話と住吉の神/遣唐使と住吉大社/和歌の神としての住吉大社/王朝文学と住吉大社/熊野街道と住吉大社/住吉大社の祭礼/御伽草子と住吉の神/江戸時代の住吉大社/コラム 住吉松葉大記/明治維新と住吉大社/北前船がむすぶ上方と北海道―北海道江差に伝わる住吉神主の筆跡―

第二部 「すみよっさん」の境内を巡る

境内正面/境内北側/境内東側/境内南側/境内周辺の名所と境外末社/コラム 住吉土人形(住吉人形)

第三部 石燈籠探訪

最も巨大な石燈籠・最も高い石燈籠/コラム 石燈籠/油関係の石燈籠/越中締綿荷主廻船中の石燈籠/さんけい道の石燈籠/紅花業者の石燈籠/誕生石の石燈籠/翫物商石燈籠/卯之日燈籠/最古の石燈籠/城主奉納の石燈籠/蠟石の和砂糖問屋石燈籠/再建された侍者社石燈籠/有田焼磁器燈籠の名品/「大阪」最古の年紀銘/飛脚問屋の石燈籠/鷺燈籠/住友燈籠/芭蕉句碑の石燈籠/堺たばこ庖丁鍛冶の石燈籠/大坂上荷船茶船中の石燈籠

住吉大社の指定文化財
住吉大社叢書発刊にあたって 藪田 貫
編集後記 黒田一充

(境内案内図とアクセス)




 
◎おしらせ◎
 北海道新聞に本書の記事が掲載されました(2023年8月25日)
 江差と関西の関係 姥神大神宮祭の山車「松寳丸」でひもとく 大阪・住吉大社の本で紹介



ISBN978-4-7924-1501-3 C0314 (2023.3) A4変型判 並製本 64頁 本体1,200円

  
住吉大社叢書刊行の意義
住吉大社名誉宮司 髙井道弘  

 住吉っさん。人々が親しみをこめて口にする住吉大社の呼称である。

 伝えられるには、今をさかのぼること千八百年あまりのむかし、神功皇后が託宣によって当地に住吉大神を鎮座せられた。さらに、仁徳天皇は住吉津を定められ、それ以降は朝廷の表玄関にあたる難波の海、そして行き交う船舶を守り導く存在として、ひろく崇敬をあつめた。そのため、遣隋使や遣唐使の出発時には当社に奉幣があり、難波を介して様々な文物が摂取され、やがては、外交や貿易の守護神として崇敬された。中世の堺、近世の大坂がいずれも海運で繁栄した背景には、住吉信仰があったとも云えよう。

 『古事記』『日本書紀』には、住吉大神が海から出現され、禊祓の神徳であることの由縁が神話と歴史を交えて語り継がれている。同じく『万葉集』『古今和歌集』にも、その信仰と共に住吉の地が数多く詠まれており、白砂青松の風光明媚な住吉の地は、いつしか和歌の神として崇められるに至った。つまり、海の神、託宣の神は、言葉をつかさどる和歌の神へと昇華したのであった。それは、話芸文化といわれる大阪の伝統へとつながっているのである。

 さらに、王朝文学の『源氏物語』『伊勢物語』『住吉物語』の名場面にもなり、そして、『御伽草子』一寸法師をはじめとする中世文学にも大きな影響を与え、『高砂』など能楽作品の舞台となり、また住吉明神が登場するのであった。江戸時代には人形浄瑠璃『夏祭浪花鑑』、滑稽本『東海道中膝栗毛』、古典落語『住吉加護』などの場面を見れば、ひろく庶民に親しまれた住吉大社が理解できることであろう。

 そして現代。大阪の人々は「新年のはじまりは住吉っさんから」というが、今日も初詣の参拝者は二百万人を超えるほどである。年頭の諸神事、松苗神事、卯之葉神事、御田植神事、住吉祭、観月祭、宝之市神事など、年間を通じて数多くの祭典が行なわれ、四季折々の姿を伝えている。

 今回、関西大学の黒田一充先生を中心にした皆様のご尽力と、清文堂出版のご厚意により住吉大社叢書が出版の運びとなった。住吉大社を紹介する図書としては、皆様方の手に取りやすく、平易な文章で構成されたもので、当社にとっても有り難い出版であるので、関係の皆様に感謝の意を表するものである。
 (序文より)
※所属・肩書き等は、本書刊行時のものです。