女王卑弥呼の国家と伝承
前田晴人著


本書は、研究史をふまえて「魏志倭人伝」を丹念に読み込み、考古学の成果をも援用しながら、卑弥呼の本拠を奈良盆地東南部の纏向遺跡と周辺に求め、当時の王権と国家のありようについて大胆に全体像を描いた力作である。短絡的な結びつけを排しつつ古事記・日本書紀などの伝承を重視して、卑弥呼の鬼道・魏との通交・出雲の服属・丹後勢力の意味・吉備の立場などについて分析し、邪馬台国を現代という時代のなかで国家論として追及している。


■本書の構成

第1部 邪馬台国への道

第1章 魏志倭人伝を読む
第2章 邪馬台国への路程

第2部 倭人の社会と国家

第3章 倭人社会と国邑の祭祀
第4章 倭国王と諸王の世紀
第5章 倭人伝の戦争と争乱
第6章 邪馬台国の外交
第7章 冊封国家の概念

第3部 女王卑弥呼の実像

第8章 卑弥呼の鬼道と三輪山神
第9章 倭国王卑弥呼の都と墓

第4部 邪馬台国の伝承

第10章 倭屯田の成立事情
第11章 浦島子伝説の背景



前田晴人(まえだ はると)……1949年大阪市生まれ 神戸大学大学院文学研究科修士課程修了 大阪府立登美丘高等学校教諭(書籍刊行時に掲載のものです)




著者の関連書籍
前田晴人著・古代王権と難波・河内の豪族

前田晴人著・飛鳥時代の政治と王権

前田晴人著 古代女王制と天皇の起源

大阪経済法科大学 河内学研究会 編 「河内学」の世界



ISBN4-7924-0484-3 (1999.9) A5 判 上製本 242頁 本体5400円
※所属・肩書き等は、本書刊行時のものです。