尾張藩水上交通史の研究
林 順子著


本書は、街道などの陸上交通に比べて遅れていた感のある水上交通史のなかでも手薄であった河川交通について、領主の渡し場支配の在り方に力点をおきつつ明らかにした労作である。渡し場研究が主に架橋の有無という点から軍事機能に着目して行われてきた従来の研究動向に対して、渡し場の本質的な機能である運輸・交通機能をあらためて重視する立場で述べられている本書は、これまでの渡し場研究に一石を投じるとともに、水上交通からみた尾張藩政史や美濃三川の研究ということもできる。


■本書の構成

序章

第1章 尾張藩の船支配機構

第1節 二つの船支配機構
第2節 船奉行とその下部組織
第3節 川並支配組織
第4節 小括

第2章 美濃路起渡船場

第1節 起宿と渡船場の成立
第2節 渡船場の機構
第3節 渡船場の運営
第4節 小括

第3章 木曽川水運と起

第1節 起における商品流通
第2節 木曽川における物資輸送
第3節 小括

終章

参考文献/年表/あとがき/索引




林 順子(はやし よりこ)…1965年名古屋市生まれ。南山大学経済学部卒業後、南山大学経済学研究科博士課程入学。2000年南山大学にて博士号(経済学)取得。愛知女子短期大学および岐阜大学非常勤講師。



ISBN4-7924-0498-3 (2000.12) A5 判 上製本 304頁 本体7800円
※所属・肩書き等は、本書刊行時のものです。