近江浅井氏の研究
小和田哲男著


戦国史研究の名著、増補改訂版として復活


著者の関連書籍
小和田哲男著作集 全7巻

小和田哲男編 今川氏とその時代


ISBN4-7924-0579-3 (2005.4) A5 判 上製本 342頁 現在品切中です
■本書の構成
第T部 浅井三代の興亡
  第一章 解き明かされた出自の謎
  第二章 亮政の小谷築城と国人一揆
  第三章 見直される二代目久政
  第四章 浅井氏の戦国大名化はいつか
  第五章 長政とお市の方の結婚
  第六章 姉川の戦い
  第七章 志賀の陣と小谷城の戦い
  第八章 浅井氏の滅亡とその末裔
第U部 近江浅井氏と戦国期の社会
  第一章 家臣団構成  国人と土豪・姉川流域の家臣たち・天野川流域の家臣たち
  第二章 井戸村与六論  今井氏の領主制・土豪井戸村氏の成長・作職書付の分析
  第三章 領国下村落の二つの形態  菅浦・下坂
 ◎近江浅井氏関係年表◎
戦国大名浅井氏研究の出発と到達
中央大学名誉教授 峰岸純夫
 私の書架には小和田哲男氏の著書『近江浅井氏』が長いこと置かれ、折に触れて開き見ることが多い。考えてみると本書が刊行されたのは一九七三年で、小和田氏が二〇歳代後半の若さで著したものである。そして、浅井氏の本格的研究がここに始まったのである。それから三〇年余の歳月が経過し、多くの後塵の研究が輩出したが、そのなかで本書の価値は失われることはなく輝き続けてきた。やがて本書は絶版になり、手に入りにくい貴重書になっていた。
 この度、清文堂出版から再版されることになり、その校正原稿を見せていただく機会を得た。
 第一部「浅井三代の興亡」は旧版に徹底的に手を入れられ、一新した内容で浅井氏の興起から滅亡までを丹念に追い、第二部「近江浅井氏と戦国期の社会」は旧版の体裁を基本的に保ちつつも、史料を読み下し文から原文に替え(旧版の関係史料集は本文中に繰り入れられ)、末尾に「その後の研究について」という論争を含む研究史の流れを詳細に記述している。それ故、本書は一冊でもって浅井氏研究の出発点と達成点を同時に示すものとなっており、戦国大名研究と浅井氏研究に関心を持つ多くの人々にとって必読文献の価値を有するものになっていると思う。 
※所属・肩書き等は、本書刊行時のものです。