■平松家本平家物語
京都大学文学部国語学国文学研究室編
平家物語研究は、古態本研究もさる事ながら、語り物系諸本の系統に関してもより詳細な研究段階へと発展しつつある。本書は、最近の研究成果で斯道文庫蔵百二十句本・小城鍋島文庫本・竹柏園本・鎌倉本と並んで、覚一本と語り物系古態本たる屋代本との書承的中間形態を示す室町時代の書写本として重要な位置を占め、全文真名書きという特徴から国語学上の関心を引く。影印に際して朱墨とも一切筆を入れることなく、原本ありようの鮮明な版面に仕上げた。池田敬子氏執筆の解説を付して江湖に提供する。
ISBN4-7924-1305-2 (1988.5) A5 判 上製本 1006頁 本体20,000円