近世文学の交流
-演劇と小説-
河合眞澄著


交流を主題として、演劇を中心に日本の近世文学について論じた書である。演劇の範囲にとどまらず、小説との関係にまで論及している。歌舞伎と浄瑠璃が交流しつつ興亡を繰り返す状況を、歌舞伎の台帳を主な資料として考察する第一部、役者評判記に見られる西鶴作品の利用に着目し、浮世草子作者の構想方法や語彙の新解釈を述べる第二部、『南総里見八犬伝』における演劇からの影響を具体的に指摘し、関係する歌舞伎関係資料を紹介する第三部から成る。


■本書の構成

第1部 歌舞伎と浄瑠璃の交流

第1章 享保期の上方歌舞伎(一)―『俊徳丸〔コノテ〕柏』
第2章 享保期の上方歌舞伎(二)―『熊野御前平紋目』
第3章 合作浄瑠璃における立作者の推定
第4章 歌舞伎の大成
第5章 宝暦期の歌舞伎(一)―『銀閣寺釿始』
第6章 宝暦期の上方歌舞伎(二)―『仮名草子国姓爺実録』
第7章 宝暦期の上方歌舞伎(三)―『秋葉権現廻船語』
第8章 お三輪の成立
第9章 敵討説話の形成―『伊賀越乗掛合羽』
第10章 狂言読本―『伊賀越乗掛合羽』

第2部 役者評判記と西鶴作品

第11章 役者評判記の開口部と西鶴作品(一)
第12章 役者評判記の開口部と西鶴作品(二)
第13章 江島其跡の執筆時期

第3部 『八犬伝』と演劇

第14章 『八犬伝』と演劇(一)
第15章 『八犬伝』と演劇(二)
第16章 『八犬伝』と演劇(三)
第17章 『花魁莟八総』
第18章 『花魁莟八総物まねぶたいことば』
第19章 上方物真似本三種
第20章 菅原の世界と『八犬伝』

付録 歌舞伎・浄瑠璃雑考

歌舞伎と廓
世界
やつし
『双生隅田川』
『仮名手本忠臣蔵』
『祇園祭礼信仰記』
『鐘もろとも夢の鮫鞘』
『妹尾山婦女庭訓』
『袖簿播州廻』
『隅田川続俤』




河合眞澄(かわい ますみ)……1952年大阪市生まれ 京都大学大学院文学研究科博士後期課程学修退学 愛媛大学法文学部教授



ISBN4-7924-1348-6 (2000.7) A5 判 上製本 490頁 本体13,000円
※上記のデータはいずれも本書刊行時のものです。