文学の言語表現学
言語表現学叢書 第3巻
表現学会編


表現学会50年の歩み―研究の奥行きと広がり
作品論の中核―如何に書かれているか
表層の〈あや(文)〉を解く―古典・近代文学の世界の巻


第一部 古典文学
冒頭句「今は昔」と「けり」叙述
 ―宇治拾遺物語を中心に― ……藤井俊博
物語冒頭と作品素材 ―超越的素材と現実的素材― ……神尾暢子
歴史的現在法の文体論的意味 ―平安日記文学を中心として― ……山口仲美
見聞三話の統合論理 ―堤中納言このついで― ……保科 恵
「語り」の表現機構 ―中世の場合― ……安田 章
俳文「柴の戸」の表現様式 ―国文学古典とのかかわりからの考察― ……広田二郎
文体の性格……真下三郎
日本古典文学の現代語訳 ―『源氏物語』の場合― ……呉羽 長
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上代語における係助詞「こそ」の構文上の特徴 ―「ぞ」との相違― ……堀尾香代子
接尾語「さ」の構文的機能の変遷……秋本守英
落窪物語の丁寧表現 ―言葉遣いに人格が反映する― ……長沼英二
和歌の禁止表現 ―複合動詞と「な…そ」― ……木村雅則
俳諧表現考 ―切字「や」と芭蕉― ……松岡満夫
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視点と理解主体 ―紫式部日記と枕草子の場合― ……東 節夫
方丈記の解釈 ―視点の行動から― ……押見虎三二
万葉集の歌謡性と視点の問題……久米常民
『和歌九品』望月駒詠の表現構成 ―二元的視点と体言止め― ……小池博明
芭蕉の表現 ―静止主体と動作主体の交替現象― ……赤羽 学
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『紫式部日記』の比喩表現……稲垣泰一
近松における修辞的分析の試み ―説得力を作り出す技法の解明― ……柳沢浩哉
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平安時代仮名文における用語「山里」 ―秋・冬への傾斜― ……阿久澤忠
表現世界と語の意義
 ―源氏物語における「ささやか」を中心に― ……藤田加代
場面に即応する義趣の追究……桑田 明
古今的表現の一面 ―歌語「秋霧」の創造― ……渡辺輝道
西行の旅の歌における表現意識 ―初度陸奥旅行の歌と詞書を通じて― ……西村真一
聞書抄物のことばの解明をめざして……小林千草
真名伊勢物語の清濁表記 ―違例といわれるものの解釈― ……遠藤邦基

第二部 近現代文学
子規の写生文に見られる現実認識 ―表現認識の時間的側面とのかかわりにおいて― ……寺本喜徳
正岡子規の文章観と写生文の表現……長谷川孝士
夏目漱石『道草』における作中人物の発言と地の文との関係……石出靖雄
一人称代名詞「自分」の記述的意味 ―志賀直哉作品の表現― ……西崎 亨
『細雪』四姉妹の対称詞 ―その使用に見る谷崎の表現意図― ……安井寿枝
大佛文学が描いた女性像……福島行一
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文体はいかにして生成されるか ―鴎外と漱石の場合― ……木原 茂
巌谷小波における口語文体形成の軌跡 ―明治21年から24年までの小説を中心に― ……小松聡子
志賀直哉における省略の文体……根岸正純
話型の力 ―『細雪』論― ……平野芳信
横光利一における文体の形成……前川清太郎
川端康成作品のファンタジー性……森本正一
遠近法と作品世界の作られ方 ―幸田文「台所のおと」のばあい― ……井倉美江
大江健三郎の文体……橘  豊
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「その子二十」歌考……大野 裕
永劫の旅人の円環のヴィジョン ―西脇順三氏の詩の世界― ……池谷敏忠
実相観入の論……山根 巴
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芥川龍之介『藪の中』 ―真相再構成論への訣別― ……佐藤嗣男
照応と省略 ―宮沢賢治の場合― ……菅野 宏
「人生劇場」の評価
 ―その思想性と表現法をめぐって― ……都築久義
  ○解  説


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ISBN978-4-7924-1427-6 C3380 (2013.6) A5判 並製本 417頁 本体4,600円
※上記のデータはいずれも本書刊行時のものです。