■新修泉佐野市史 全九冊(13巻)

1巻
2・3巻
4巻
5巻
6巻
7・8巻
9・10巻
11・12巻
13巻

   通史編 自然〜中世
   通史編 近世・近代・現代
   史料編 古代・中世1
   史料編 中世2
   史料編 近世1
   史料編 近世2・近代 現代
   別巻  考古編・民俗編
   別巻  建築・美術編・かんがい水利編
   別巻  絵図地図編


1巻 通史編 自然〜中世
監修 栄原永遠男(大阪市立大学大学院文学研究科教授) 石部正志(市立五條文化博物館館長) 吉井敏幸(天理大学教授)

考古
T泉佐野市の地形と先史時代の遺跡 U旧石器・縄文時代 V弥生・古墳時代 W飛鳥・奈良・平安時代 X中世の泉佐野
古代
T奈良時代以前の和泉 U和泉の氏族と名負氏―氏族配置の歴史的起源― V平安初期の和泉国 W王朝の和泉国 X内乱期の和泉国 Y和泉国を訪れた貴人たち
中世
T鎌倉時代の荘園制と日根荘 U南北朝の内乱と土丸城 V和泉国守護細川氏と日根荘 W「政基公旅引付」と日根荘 X戦国期の守護と国衆 Y戦国・織豊期和泉の政治権力 Z戦国時代の寺院と社会 [中近世移行期の在地社会

ISBN978-4-7924-0651-6 C3021 (2008.3) A5 判 上製本 666頁 本体13,000円
 


2・3巻 通史編 近世 近代 現代
監修 高嶋雅明(広島経済大学教授) 藪田 貫(関西大学文学部教授)

近世
T泉州南部における近世の村落と領主 U検地帳と宗旨人別改帳からみた村の様相 V俵屋新田村の成立と展開 W大井関明神社と慈眼院 X近世の湊浦と泉南地域の浦 Y佐野の豪商食野家 Z近世泉佐野市域と朝鮮通信使 [小室藩和泉国領と新川家 \新川家の家と婚姻 ]泉佐野地域の教養と文化 ]T里井浮丘の日記「行余楽記一」 ]U里井浮丘と里井なを

近代・現代
T泉佐野市域の発展と行財政 U兵役・軍隊・戦争と泉佐野 V融和事業の開始 W市域の近代産業 X明治社会の諸相と学校建設 Y関西国際空港の開港と泉佐野市史
[別編」Z市域の農業と漁業 [現代における日根野の灌漑水利 \祭りの熱狂 ]泉佐野市の民家遺構・近代化遺産

ISBN978-4-7924-0680-6 C3021 (2009.3) A5 判 上製本 616頁 本体13,000円
 


4巻 史料編 古代・中世T
監修 小山靖憲(帝塚山大学) 栄原永遠男(大阪市立大学)

 古代では和泉国に関する主要な史料を、中世においては現泉佐野市域に関係する史料を、時代順に収めた。利用者の便を考え、史料本文の前に史料の内容を簡潔にまとめた綱文を付け、後にはなお補足するべき補注を施した。紙幅の関係で収録できなかった史料については付録表にまとめてできるだけ多数の史料を示した。
執筆者 小山靖憲・栄原永遠男・藤田達生・元木泰雄・森田恭二・吉井敏幸・遠藤慶太・大澤研一・唐澤寛・田中久美・古野貢・横澤大典・山中吾朗・大利直美・坂本亮太・村井良介・廣田浩治・森昌俊・近藤孝敏・羽田真也・宮田克成
ISBN4-7924-0595-5 C3021 A5 判 上製本 879頁 本体8000円
 


5巻 史料編 中世U
監修 小山靖憲(帝塚山大学)

 前関白九条政基が和泉国日根野荘で書き残した「政基公旅引付」を中心に据えた。日記本文を読み下し文として活字化することにより、本史料の利用者の巾の拡がりを期す。地名や用語などに詳細な頭注・補注を施し、また日記に登場する人物の略歴を紹介する人名一覧や参考史料・関係年表・図表を添えるなどの配慮により、本「旅引付」の史料読解が深まり研究がさらに進展することが期待される。
執筆者 小山靖憲・藤田達生・森田恭二・吉井敏幸・梶木良夫・古野貢・大利直美・廣田浩治・近藤孝敏・宮田克成
ISBN4-7924-0596-3 C3021 A5 判 上製本 806頁 本体8000円
 


6巻 史料編 近世T
監修 藪田 貫(関西大学)

 近世の泉佐野地域の個性を全面に出す編集方針をとった。選ばれた章題は「T豪商食野家」「U岸和田藩の新田開発―俵屋新田村」「V新川家と小室藩小堀氏」「W大井関明神社と慈眼院」「X里井浮丘と文化交流」である。Tではこの地域の経済力を明らかにし、食野家の格式や岸和田藩の財政との関わり、兵庫と秋田の出店についてあきらかにする。Uには岸和田藩領内一七カ村に散在する俵屋新田の実態をしめす。Vはこの地域に領地を有した大名小堀氏の支配の様相を明らかにするが、町人訴願により改易となった時期の領民・代官の動揺を生々しく伝える。Wは和泉五社のひとつ大井関明神社をとりあげ、別当寺との社務争論を通して神仏が混交した近世の社寺のありかたを示す。Xでは近世後期の泉佐野を代表する人物・里井浮丘をとりあげ、文化人としての交流を見るとともに、公家奉公期の妹なをへの書簡を載せる。
執筆者 藪田貫・岩城卓二・桑原恵・藤本清二郎・前田正明・烏野茂治・曽我友良・北林千鶴・木村修二・永の啓子・森本幾子
ISBN4-7924-0592-0 C3021 (2005.3) A5 判 上製本 640頁 本体13,000円
 


第7・8巻 史料編 近世2・近代 現代
監修 高嶋雅明・藪田 貫

第七巻 史料編 近世U……T 村の由緒/U 村の土地/V 村の人々/W 村の生産・生活
第八巻 史料編 近代 現代……T 行財政/U 兵事書類と戦争関係資料/V 社会事業/W 産業経済/X 近現代の社会





ISBN978-4-7924-0634-9 C3021 (2007.3) A5 判 上製本 332頁 本体13,000円
 


9・10巻 考古編・民俗編
監修 石部正志・八木 透

第九巻 考古編……総論 遺跡の概要/第一章 旧石器・縄文/第二章 弥生・古墳/第三章 古代/第四章 中世・近世/第五章 その他資料
第一〇巻 民俗編……序章 民俗編の読者のために/T 山間部の民俗的特質/U 平野部の民俗的特質/V 町場の民俗的特質/W 宮座/X 暮らしと祭り/Y 盆踊りと民謡・民俗芸能/Z タオルをめぐる人々と社会/[ 漁業と漁民の暮らし




ISBN4-7924-0612-9 C3021 (2006.3) A4 判 上製本 526頁 本体13,000円
 


第11・12巻 建築・美術編 かんがい水利編
監修 櫻井敏雄 長田寛康 出田和久

第11巻 建築編……泉佐野の社寺建築 美術編……宗教美術/日根対山/近代画家
第12巻 かんがい水利編……泉佐野市域の農業と水利/地域・水系ごとの水利開発史/水利の現況と近年の変化/水利史料/別刷・大木水利詳細図ほか6点 





ISBN4-7924-0613-7 C3021 (2006.3) A4 判 上製本 346頁 本体13,000円
 


13巻 絵図地図編
監修 出田和久(奈良女子大学)

 泉佐野市域に関する中世から現在までのさまざまな絵図44点・地図15点を収録する。絵図集と解説を別冊とし見やすい構成とした。国絵図・国絵図関連絵図、村絵図・町場絵図、山論絵図、水利絵図・田地開発関係絵図、浦浜絵図や近世絵図、近代絵図・地籍図、地形図、空中写真・衛星写真など種類別に紹介する。中世荘園絵図の「日根荘日根野村荒野絵図」「日根荘日根野・井原両村荒野絵図」のほか地質図・等高線図などの9点は、大判別刷として収録。
執筆者 出田和久・小山靖憲・井田寿邦・梶木良夫・原秀禎・藤田達生・藤本清二郎・前田正明・吉井敏幸・上田繁之・河原典史・土平博・樋野修司・山近博義・大西信行・烏野茂治・近藤孝敏
ISBN4-7924-0597-1 C3021 A4 判 3分冊 解説300頁・絵図100頁・別録9点 本体10,000円
◆自治体史編纂の大胆な試み
専修大学 青木美智男
 日本は県史、市町村史(誌)刊行の王国である。図書館の郷土史コーナーには、自分の住む市町村だけでなく、全県の自治体史がずらっと並んでいる。しかし意外なことに、そこに生きる住民たちがその存在を知らないことが多い。ましてや他県人が知るよしもない。なぜなのだろうか。他所のお偉い研究者の方々に編集を頼み、刊行してもちょっとしか宣伝しないからである。しかも史料集などを見ていると、ろくな解説もなく不親切である。
 その点で泉佐野市の試みは画期的である。財政難による苦肉の策とはいえ、刊行と販売事業を歴史専門の出版社に依頼することは、そこの住民だけでなく全国の研究者らにその成果を伝達する一つの試みとして注目できるからだ。ただ読者は住民だけとは限らなくなる。そこで編集には相当な工夫がいるし、かなりの労力が必要となる。『泉佐野市史』6史料編 近世Tはその点で新たな試みをし、それに成功していると思う。掲載史料のすべてに、表題の脇に分かりやすい小解説が付いているので、つい読んでみたくなる。また章ごとに全体の解説があり参考文献が紹介されているから、掲載史料の背景がよく分かり安心して使える。そして収録史料を泉佐野市の近世社会を浮き彫りできるように大胆に選別し、独特な章節を設定しているのがいい。豪商食野家、新田開発、代官新川氏と小室藩小堀氏、大井関明神社と慈眼院、里井浮丘と文化交流。領主・土地・年貢・町や村などという章節に慣れきっている者にとってはじつに新鮮だ。なかでも豪商食野家の多角経営の実態、文人里井浮丘の廻船経営と著作活動に関する史料からは、泉佐野地域ならではの動きが如実に伝わってくる。
 編集者の皆さんに拍手を贈りたい。泉佐野の地域から近世を読み解く史料集として、書店の店頭で手に取ってみて欲しい。そしてご活用をお薦めするとともに、財政の善し悪しに関係なく、多くの自治体史編纂でもさまざまな試みが行なわれることを期待したい。
 
◆自治体史の曲り角と泉佐野の「近世」
関西大学 藪田 貫
 泉佐野市は、人工島関西空港の対岸に位置する。空港から飛び立った飛行機から見下ろすその姿は、海岸部からはじまり奥に控える和泉山脈へと東西に伸びている。湾岸部に沿っては、紀州街道が走っている。古来、貴賎の人々が行き交った道である。
 この泉佐野市の新しい市史は「新修泉佐野市史」として平成四年に始まった。時恰も、関西空港開港を控え、大阪府などによる関連事業が計画されていた時だけに、増える税収入を当てに市史の計画は、通史編3巻・史料編5巻・別巻5巻という気宇壮大なものであった。近世を担当した私も、近世史料編二巻、近世本文編一巻という贅沢な構想に酔っていた。ところが、である。景気の低迷は、大阪府の三セク事業の失敗も手伝い、市の財政を極度に悪化させた。13巻『絵図地図編』、4巻『史料編古代・中世T』、5巻『史料編中世U』と、順調に進んでいた編集・出版事業に、その皺寄せが来るのに時間はかからなかった。本書は、まさにその最中に出版することとなったのである。
 泉佐野といえば、日根荘であり、九条政基であり、今年五月に急逝された小山靖憲氏が精魂を込めた成果が5巻『史料編中世U』としてすでに出ている。しかし近世に入っても、豪商の食野・唐金、対馬に雄飛した佐野網、里井浮丘に日根対山と話題は事欠かない。そこで6巻『史料編近世T』は、近世泉佐野の特色を、豊富な史料でもって大胆に押し出そうと計画したのである。本書に収めたT豪商食野家、U岸和田藩の新田開発、V新川家と小室藩小堀氏、W大井関明神社と慈眼院、X里井浮丘と文化交流が、その成果であるが、予算の潤沢な時に史料調査が大きく進んでいたのは幸いだった。しかも五人の委員に加わえ、アルバイトとして当初、入っていた院生たちが、その後、副担当として共同作業に加わることで、本書の内容は大いに充実することとなった。
 高度成長と財政破綻の狭間に生まれた『新修泉佐野市史6 史料編近世T』は、ある意味で戦後の自治体史を証言するものとなるだろう。
 
※所属・肩書き等は、本書刊行時のものです。