周縁的社会集団と近代
塚田 孝・佐賀 朝・渡辺健哉・上野雅由樹 編
大阪市立大学文学研究科叢書第12巻


「第Ⅰ部 アジア諸地域の近代化をめぐる比較史」「第Ⅱ部 周縁的社会集団に迫る史料」「第Ⅲ部 下からの歴史」の三部構成。日本の近世~近代移行期の社会史を軸にしながら、中国やインド、オスマン帝国を比較対象として取り上げ、西洋史研究の視点からの論点提起も加える形で、多角的にアジア諸地域の社会集団や都市空間およびその周辺地域の変容過程とそこに作用した諸要素を明らかにする。



■本書の構成


序章 周縁的社会集団をめぐる対話と架橋

道頓堀周辺の社会=空間構造
 ―周辺村方史料から巨大都市を照射する― …………塚田 孝
  はじめに
  1.日本近世都市史研究の現段階
  2.巨大都市大坂の周縁地域――道頓堀周辺の複合的社会構造
  おわりに――難波村の村方史料


コメント:近世大坂・道頓堀の社会=空間と周縁的社会集団の世界…………ダニエル・V・ボツマン

コメント:地方城下町から周縁を考える…………マーレン・A・エーラス


第Ⅰ部 アジア諸地域の近代化をめぐる比較史

19世紀日本における牛、人間、そして「進歩」…………ダニエル・V・ボツマン/早川聖司訳
  はじめに
  1.「自然の合理的支配」に向けて
  2.近世日本の「牛文化複合体」
  3.黒船と牛肉
  4.国内での影響
  5.「解放」と脱呪術化――複雑な絡み合い


水戸から来た天狗
 ―1864年に越前に到来した内戦― …………マーレン・A・エーラス/藤本大士訳
  はじめに
  1.天狗党の乱と大野藩
  2.水戸浪士との遭遇に関する記録
  3.恐怖の日々
  4.豪農・豪商以外の民衆の関与
  5.戦いと勇敢さの観察
  おわりに


「遊廓社会」の近代化
 ―研究史整理と一次史料の検討から― …………佐賀 朝
  はじめに
  1.遊廓の近代化をめぐる先行研究の再整理
  2.近世~近代移行期の遊廓社会――横浜遊廓と稼業契約史料
  おわりに


近世身分制の解体と貧民救済=統制の近代化
 ―明治初期東京の救貧体制を事例に― …………ジョン・D・ポーター
  はじめに
  1.養育院の成立過程
  2.養育院の歴史的展開
  おわりに

幕末明治人の見た〈近代〉中国の社会 ―岡千仞『観光紀游』を手がかりに― …………渡辺健哉
  1.岡千仞と『観光紀游』について
  2.岡の眼に映った上海
  3.岡の眼に映った広州
  4.文廷式との出会い
  5.〈近代〉中国社会に対する岡の理解
  おわりに


国際都市・上海の日本人居留民社会
 ―1920~30年代を中心に― …………張 智慧
  はじめに
  1.「日本人社会」としての側面
  2.上海共同租界中の「日本人居留民社会」という側面
  3.中国情勢と「上海居留民社会」という側面
  おわりに


オスマン帝国とヨーロッパ
 ―17世紀末から18世紀における対カトリック政策から― …………上野雅由樹
  はじめに
  1.17世紀までのカトリックの処遇
  2.「教皇の宗教」との戦い
  3.カピチュレーションと付き合う
  おわりに



第Ⅱ部 周縁的社会集団に迫る史料
 ―史料の存在形態と比較史―

近世インドの周縁的社会集団と史料
 ―マラーティー語文書の世界― …………小谷汪之
  はじめに
  1.マラーティー語文書の世界――17・18世紀
  2.カースト社会において周縁化された人々
  おわりに


明治初期大阪の裁判記録にみる近世身分法違反と地域的支配慣習に関する法的判断…………ティモシー・エイモス/藤本大士訳
  はじめに
  1.身分法の名残
  2.ローカライズされた法の名残
  おわりに


「諸吟味書」の世界
 ―明治初年大阪府の断獄― …………安竹貴彦
  はじめに
  1.明治初年の大阪府――近世との連続性と裁量の拡大
  2.身分法の名残
  3.ローカライズされた法
  おわりに


「商船会館」からみた清代中後期上海の港湾および周辺街区の変遷…………馬 学強/辻 高広訳
  はじめに
  1.「馬家廠」を探して
  2.商船会館を中心とする上海港湾と周辺街区構造の変遷
  3.商船会館および街区における船商の活動
  おわりに


馬学強報告へのコメント
 ―日本近世の同業組合会所と比較する視点から― …………渡辺祥子
  はじめに
  1.大まかな点での比較
  2.薬種中買仲間の会所に関係する史料の提示
  3.各史料の性格の違いについて
  おわりに


近世長崎貿易の唐船商人と関係史料
 ―史料の管理・保存をめぐる日中比較を兼ねて― …………彭 浩
  はじめに
  1.唐船貿易の概観――商人集団を中心に
  2.渡航前・帰帆後の活動状況と関係史料
  3.長崎渡航後の活動状況と関係史料
  4.関係史料の管理保存と日中比較
  おわりに


近世日・中・印における生業ならびに社会集団の存在様態を比較する
 ―なぜ近世大坂の非人は仲間組織を形成したのか?― …………向井伸哉
  はじめに
  1.近世中国――強度の中央集権と国家による地方社会の自由放任
  2.近世インド――強度の地方分権と国家による地方社会への軽度の干渉
  3.近世日本――軽度の中央集権と国家による地方社会への強度の干渉
  4.近世日本の特異性
  5.近世大坂の非人による仲間組織の形成



第Ⅲ部 下からの歴史
 ―社会集団と個―

都市大坂の都市域と難波村領の境界
 ―幸町五ヶ町の開発と三間井路― …………吉元加奈美
  はじめに
  1.堀江新地開発と上難波村・下難波村領の収公
  2.三間井路
  おわりに


陣屋元村の都市化と人別・家数管理
 ―和泉国泉郡伯太村を事例に― …………齊藤紘子
  はじめに
  1.陣屋元村の空間構成
  2.近世後期伯太村における人別・家数把握
  3.弘化期の村方騒動からみた陣屋元村の社会構造
  おわりに


村中規定連印帳にみる和泉国池田下村の19世紀…………島﨑未央
  はじめに
  1.池田下村について
  2.規定連印帳について
  3.村中規定連印帳にみる19世紀の諸問題
  4.一橋家廻村役人の不正筋取締りと村の対応
  おわりに


医療宣教に見る欧米・アジア間の移動と交流…………藤本大士
  はじめに
  1.東アジアにおける医学の近代化と医療宣教師
  2.日本における医学の近代化と西洋人医師
  3.イギリス人医療宣教師と植民地医学
  4.来日医療宣教師の日本国外での経験
  おわりに


コメント:都市と社会集団の比較史
 ―19世紀ドイツを念頭に― …………北村昌史



ISBN978-4-7924-1518-1 C3320 (2023.3) A5判 上製本 478頁 本体9,000円


大阪市立大学文学研究科叢書
第1巻 橋爪紳也責任編集・アジア都市文化学の可能性

第2巻 都市の異文化交流

第3巻 井上徹 塚田孝編・東アジア近世都市における社会的結合


第4巻 近代大阪と都市文化

第5巻 都市文化理論の構築に向けて

第6巻 文化遺産と都市文化政策

第7巻 都市の歴史的形成と文化創造力

第8巻 塚田 孝・佐賀 朝・八木 滋編 近世身分社会の比較史

第9巻 井上 徹・仁木 宏・松浦恆雄編 東アジアの都市構造と集団性

第10巻 大場茂明・大黒俊二・草生久嗣編 文化接触のコンテクストとコンフリクト

第11巻 佐金 武・佐伯大輔・高梨友宏編 ユーモア解体新書

 
※所属・肩書き等は、本書刊行時のものです。